開業後どのような税金が発生するかわかりません。またその支払い方法はどうなるかわかりません。

開業前は勤務先が税金を給与天引きして、年末調整してくれていました。しかしながら開業後は、先生の税金は当たり前ですが、従業員の給与に対して預かった税金も、先生ご自身が決められた時期に納付し申告しなければいけません。納税・申告が期限に遅れるとペナルティを課されてしまいますし、資金繰りの上でも納税時期・金額は大切になります。

 その年の診療所の収入から経費を差し引いた儲けを「事業所得」とし、他の所得をまとめて確定申告して、翌年の3月15日までに所得税を納めてください。一年間の税金が一定の額以上のときは、予定納税として前年税額を基にした金額を分けて7月31日と11月30日までに前払いすることが必要です。
 確定申告をしていれば住民税の申告は必要ではありません。市町村から届いた納税通知によって年間4期に分けて納付しましょう。

 診療収入の内容や収入額によって、消費税や社会保険診療以外の事業税がかかることも考えられます。また不動産などをお持ちの際には、固定資産税も納める必要もあります。

 その他先生ご自身の税金ではありませんが、従業員の給与や賞与から預かった源泉税は、翌月の10日までに納付してください。ただし従業員が9名以下の場合は、年2回に分けて納付することが可能になります。

消費税は患者様からいただくのかどうかわかりません。

医院の収入に関しては消費税がかかるものと、かからないものの2種類があります。消費税がかかるものに関しましては患者様から消費税をお預かりしておきます。

 また、学校医などの報酬は「給与所得」となりますので消費税はかかりません。一方、自動販売機や物品の売上、駐車場を貸して得る収入などは、消費税がかかります。
 
 患者様からお預かりした消費税は、開業の後2年間は原則、消費税を納める必要はありません。これは納めるか納めないかの判定の期間が2年前の年であるためです。3年目以降は基準期間の2年前の年の年収の中で「消費税のかかる収入」が1,000万円を超える年がある場合は翌年の3月31日までに申告し納税しなければいけません。平成24年の「消費税のかかる収入」が1,000万円を超えた際には平成26年は消費税を申告するということになります。

 前々年の「消費税がかかる収入」が5,000万円以下の年の場合には、簡易課税という簡単で便利な方法を選ぶことが可能です。選択する際には、一定の期日までに届出する必要がありますので、税理士等にご相談ください。

 なお、平成16年4月から消費税込の金額を表示することが決定しました。「消費税がかかる収入」である自由診療・物品販売等に関しましては、金額を患者様にお伝えするときには消費税を含めた金額を表示するようにしましょう。

スタッフの研修において、注意すべきことがわかりません。

受付窓口の仕事とは何かを考えたときに、「会計の清算をする」「診察券を受け取りカルテを出す」「次回の予約を入れる」などいろいろあります。これらの業務のほかには「患者様を温かくお迎えする」「患者様を温かくお見送りする」というサービス面の仕事も含まれています。日々の仕事が忙しいからという理由で、接遇をなおざりにすることは医院経営においてとてもマイナスになってしまいます。
 開院前の研修でも接遇研修を取り入れましょう。開業後も定期的に研修や見直しをするとよいでしょう。

(1) 内部で検討会を開く
 検討会や反省会などの場を作って検証を行うことも重要になります。その場で風通しよく、改善した方がいいところを言いあうことは、この検討会の設立に大きな意味を持ちます。
(2) 外部講師の研修を受講する
 スタッフの育成をすることは、診療所経営の基本です。先生ご自身がスタッフの教育をする時間がないような場合には、外部講師に任せるのも良い案だと思います。
(3) 先生ご自身が教材
 スタッフはいつも先生を観察しています。スタッフをどんなに良い研修に参加させていたとしても、先生ができていなければスタッフもできるようにならないでしょう。スタッフの行動は、先生ご自身が鏡であることを忘れずにいてください。

 医業=サービス業という観点で、私たちは「見られている・聞かれている」という意識をもつことが重要です。

スタッフの給与の計算を教えてください。

給与は、医院のためを思って働いてくれたスタッフの方への報酬です。給与額や賞与額の支給額などが間違っていると、お互いの信頼感を損なってしまう場合もあり、不信感を抱かれてしまう第一歩になってしまうかもしれません。気持ちよく働いてもらうためにも給与の計算は、締め日と決めた日から支給日まで10日以上の余裕をもった間隔をとり、計算をしてください。
 給与計算は、単純に時給・月給、交通費の金額の計算だけではありません。源泉所得税や医院の人の数などによっては健康保険料・雇用保険料の徴収義務が給与支払い事業者に生まれてしまいます。支給額によって徴収額も変化するので、注意して行いましょう。
 所得税の計算をする際は、通常「源泉徴収額表(月額表)」を使います。最初の給与計算を行うときに、まずスタッフの方々に「扶養控除申告書」を提出していただく必要があります。
 ただし、この申告書は、1事業所にしか提出することができません。そのため複数個所から給与をもらっているスタッフの方には、主たる事業所を確認して、提出していただきましょう。

(1) 甲欄
「扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員
(2) 乙欄
「扶養控除等(異動)申告書」を提出していない従業員

 注意すべきは、スタッフの労働の対価として支払いを受けるものは、金銭だけではないというところです。昼食代・通勤手当・借り上げ社宅家賃・社員旅行なども現物給与として課税の対象となってしまうことがあります。そのため必ず税理士とご相談のうえ金額を決めるようにしたほうがいいでしょう。

月々の請求書はどのタイミングで支払えばよいかわかりません。

開業後の固定的な支出には、以下のようなものがあります。

(1) 家賃
(2) 給与
(3) 水道光熱費
(4) 材料費・外注費
(5) リース料
(6) 借入金の返済 等

 通常はほとんど支払時期が決められていますが、給与や材料費など、こちら側で支払日を決めるものもあります。このようなときには絶対に『締め日』と『支払日』を分けてください。
 特に開業の後の2か月間は、社会保険診療報酬に係る入金がないので注意を払ってください。
 また、自由診療報酬の比率が高い際などは、入金日が決まらないときもありますので資金繰りをしっかり計画することが重要です。

確定申告の際に必要な資料がわかりません。

原則として所得税(住民税)というものは、その個人が1月1日から12月31日までの期間のその個人にかかわる「全所得」に対してかかわる「税」です。そのため診療所に関する収入及び、経費の他に以下ような資料が必要です。

(1) 診療所(事業所得)以外の所得がある

 他院でも診療している、原稿を書いているなど、診療所以外での収入がある際は、それら収入も所得に含める必要がでてきます。確定申告のときには以下の資料を添付してください。

(1) 医院からの給与、校医などに係る源泉徴収票
(2) 原稿料、講義料、指導料などに係る支払調書

 その他不動産収入、不動産・株式などの譲渡がある際には、別途資料が必要となりますので担当税理士に相談することをおすすめします。

(2)その他に必要となるもの
  必要となる書類のうち代表的なものは以下の通りです。

(1) その年に支払った医療費の領収書(合計で10万円以上)
(2) 社会保険診療報酬支払基金から送られてくる支払調書
(3) 住宅ローン控除を受けている場合は金融機関から交付される借入金の年末残高証明書
(初めて受ける際には謄本・売買契約書・住民票等が必要となります。)
(4) 保険会社から郵送されてくる生命保険・地震保険の控除証明書
(5) 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
(6) 国民健康保険等の支払い明細
(7) 小規模企業共済の証明書
(8) 寄付先からの寄付金受領書と関連証明書

 この他にも資料が必要となることもございますので、担当の税理士に相談してください。

確定申告以外に税金関係でやらなければならない作業がわかりません。

年末調整と償却資産税の申告が必要になります。

(1) 年末調整

年末調整は、一年間の給与に対する所得税を計算して、毎月の給与の支給の時に預かっている所得税との差の金額を清算することです。
開業いたしますと、従業員さんに対してこの作業を必ず行う必要がでてきます。
また、年末調整の作業と並行して、「給与支払報告書」という書類を従業員さんの住所所在地の市区町村役所(役場)に送ることも忘れてはいけません。

(2) 償却資産
土地や建物には「固定資産税」、自動車には「自動車税」という税がかかるのと同じように、診療所のパソコン・内装・医療機器などの固定資産には「償却資産税」という税金がかかります。
償却資産税は1月31日までの申告が必要です。 

妻に給与を支払うことができるかわかりません。

A1 青色専従者給与

 生計を共にしている配偶者やその他の親族が、診療所の経営に従事したときに支払われる給与は原則、必要経費にはなりません。

 ただし、青色申告者であるときは、配偶者やその他の親族を青色事業専従者として届出を提出することにより、必要経費に算入することが可能になります。

A2 専従者給与の要件

(1) その年の12月31日現在で15歳以上である
(2) 青色申告者と生計を共にする配偶者、またはその他の親族である
(3) 青色申告専従者の届出を支給する3月15日までに提出している(新規開業の場合開始してから2か月までに提出)
(4) その年を通じて、6か月を越える期間その青色申告者の営む事業に従事していること。(一定の際には事業に従事する事が出来る期間の、2分の1を越える期間従事すること)

A3 専従者給与の適正額

 青色専従者に支給する金額は、所得税法に『その労働の対価として相当な金額であること』とあいまいな表現で記載されています。
 しかし、金額には妥当性を持たせなくてはいけません。下記の点に注意して支給額を決めることが重要です。

(1) 専従者の年齢、資格、従事期間に見合った金額であること
(2) 勤務実態や執務内容を考慮した適正な金額であること
(3) 同じ規模の医院と比較して著しく高くないこと
(4) 支給額が他のスタッフに比べて著しく高くないこと

 一般的に専従者給与というものは他のスタッフと比較すると、通常の勤務の他、医院の資金繰り、給与計算や会計業務の記帳などを行うという理由から高額になる場合もあります。
 こういう場合には、タイムレコーダーなどによって出勤確認をすることは当たり前ですが、業務内容を明らかにするために、業務日誌を記入、会計法簿の記帳などを行っていれば、その筆跡から本人の確認も行うことが可能です。もしも税務調査があった際でも、勤務実態を証明するための大切な資料になります。